忘れられない日~まめごん、降臨③
促進剤によって陣痛が一気に強化されて二時間。
私・ペンギンはたぶん半分白眼をむきながら堪えていた…と、思います(´-ω-`)なんせもう、記憶があやふやなんですもの。強烈なのに、薄モヤがかかってる感じ。とにかく叫ぶとか痛みにキレるとか、ここぞとばかりに夫を罵倒するとか(笑)、自分が『やらかすかもな~』って事は1個も!出来ませんでした。ふぅーっ、ふぅーっと呟くだけ。正直、早くこの苦しみから解放されたい、その一心でした。
そうして15時30分。ナースステーションでは私ともう1名陣痛と戦うお母さん、どちらを先に分娩室へ移動させるかでバタバタしていたようでした。さすがスーパームーン効果、満月はお産が多いって噂、伊達じゃないぜ…!
結局、『ペンギンさんの方が早そうだ』とのことで。分娩室まで歩かされました。
…あ る く の!?(゜д゜)今この状態で!!
この時は本当に助産師さんが鬼に思えたですよ。マジで。
いよいよ、ラストスパートの時です。
どうやって分娩台に登ったのか分かりません。あぁ頭の血管ぜんぶ千切れそう…!!身体の中身ぜんぶが引き摺られていくみたい。朦朧とする中で必死に助産師さんのアドバイスに従う…
『上手だよ!もう赤ちゃん髪の毛見えてる!からね!あと少し!!』
この一言が、すっごく耳に焼き付いてます。
あと少し、あと少し…
妊娠中の毎日が、一気に脳裏を駆け巡りました。
少しの疑惑に蓋をした日。
夫が飛び上がって喜んだ日。
初めてエコーを見た日。
職場への報告が怖かった日。
母になる資質も資格もないような気がして、果てしない恐怖に泣いた日。
コントロール出来ない苛立ちに部屋中を荒らし回って、スマホを叩き割った日。
喧嘩した日。胎動を感じた日。
ぐぐっと身体の芯から真っ白い光が弾けた、
ような気がした瞬間。ずっと黙っていきんでたのに、思いっきり声が出ました。
『…んぎゃあぁぁぁっ、ああーっ、おぎゃーっ!!』
ちょっとハスキーで力強い産声、初めて自力で呼吸をしたまめごんの姿。小さくてピンク色の肌。これが…私の赤ちゃん!
お腹が空っぽになった喪失感、痛みに耐え抜いた達成感、私もまめごんも無事に生きてる安堵感、母になった責任感。
何よりも、可愛い娘を胸に抱いた幸福感。
いつもノーテンキな夫が、ぼろぼろ泣いていました…。15時50分、愛娘が誕生した瞬間です。
疲れきってそのまま眠ってしまいたい気分だけど、今度は病室まで自分で点滴をカラカラ押しながら歩かされ(笑)本当に鬼だな!!と内心ツッコミまくりました…。
その後。『生まれたけど~いつこっち着くの?』と実母にメールをして驚かせ(今から入院よ~の時点で連絡したら、即仕事切り上げて向かってくれていました。が、実家とペンギンの住む街は離れていて四時間ほど移動にかかるのです)。夕飯も普通にパクパク完食して、部屋の中もスタスタと普通に移動して、更に驚かせました。
ただの、出産後ハイテンション故だと思いますけど。。
一日中ほぼ何にも食べなかった夫が鼻をグズグズさせながら母が買ってきた寿司を噛み締めているのを見て、『あぁ、この日を乗り越えたんだな…』としみじみ。今日から1週間、母が病室に泊まってくれます。過保護っていうか甘ったれかもしれないけど、私が娘として母さんに甘えて寄り添えるのはこれが最後だから。ずっと『ペンギンちゃんをほったらかしにしてしまった』と思っている母に、頼ることで親孝行したかったのです。
これから始まる新生児との日々…
怖い、だけど楽しみ。
まめごん、広い世界へようこそ!!よく頑張ったね…まだ頼りないママだけど、今日からよろしくね。
2015年9月某日。年に数回しかないという、天赦という最高の吉日に舞い降りた娘。
生まれてきてくれて、ありがとう。